最終更新:2026年11月3日/この記事は、警察庁・都道府県警察が公表している情報と、運営者がスマホ教室で高齢者の皆さんと接してきた経験をもとに書いています。運営者は警察官や法律の専門家ではありません。不安なときは、警察相談専用電話 #9110 にご相談ください。
「○○警察署の者です。あなたの口座が詐欺事件に使われています」──ある日、こんな電話がかかってきたら、どうしますか。
警察を名乗られると、「何か悪いことをしたのでは」と不安になり、相手の言うとおりにしてしまいがちです。これが今、全国で被害が急増している「ニセ警察詐欺」です。
この記事では、ニセ警察詐欺の手口と、本物の警察は絶対にしないこと、そして電話がかかってきた時の対処を、できるだけやさしくまとめました。ご本人はもちろん、離れて暮らす親御さんがいる方にも読んでいただきたい内容です。
先に結論:警察官が電話で「あなたは捜査対象です」と伝えること、SNSで連絡してくること、警察手帳や逮捕状の画像を送ること、捜査のためにお金を振り込ませることは、ありません。こうした電話は詐欺です。
ニセ警察詐欺とは
ニセ警察詐欺は、警察官や検察官を名乗って電話をかけ、「捜査のため」などと言って現金やお金をだまし取る詐欺です。警察庁は令和8年から、この手口を特殊詐欺の中の独立した手口として扱うようになりました。それだけ被害が目立っているということです。
数字で見る被害
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 全国の件数・被害額(令和7年) | 11,014件・約1,005億円(特殊詐欺全体の約4割) |
| 1件あたりの被害額 | 約922万円(ニセ警察詐欺以外の特殊詐欺は約257万円) |
| 被害額が大きい年代 | 70代(約275億円)、60代(約256億円) |
| 兵庫県(令和7年・暫定値) | 849件・約62.6億円(前年より551件増) |
出典:警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」、兵庫県警察「令和7年中における特殊詐欺等の情勢について」
件数だけを見ると20代・30代の被害も多いのですが、被害額は60代・70代がいちばん大きいのが特徴です。老後のために貯めてきたお金を「全財産を調べる」という名目でまとめてだまし取られてしまうケースがあるためです。
よくある手口の流れ
都道府県警察の注意喚起をもとに、典型的な流れをまとめると次のようになります。
- 電話がかかってくる:「あなたの口座が犯罪に使われている」「詐欺の犯人があなたを共犯だと言っている」「あなたに逮捕状が出ている」などと言って不安をあおります。
- LINEなどのビデオ通話に誘導する:「詳しくはビデオ通話で」とSNSに移らせ、制服姿の人物や、偽の警察手帳・逮捕状を画面で見せてきます。
- 「秘密にしてください」と口止めする:「捜査情報なので家族にも話さないで」と言い、周りに相談できないようにします。
- お金を動かさせる:「お金が犯罪に関係ないか調べる」「資産を確認する」などと言って、指定の口座への振込や、インターネットバンキングでの送金を求めます。
電話番号を偽装してくることもある
警察庁によると、実在する警察署の電話番号を偽装する手口も確認されています。着信画面に警察署の番号が出ても、それだけで本物とは限りません。
また、犯人の電話には「+1」「+44」など、「+」から始まる国際電話の番号が多く使われています。兵庫県では、被害や相談で分かった犯行の電話番号のうち61.7%が国際電話でした。
本物の警察が「しないこと」
次のことを言われたり、求められたりしたら、相手は警察ではありません。
- 電話で「あなたは捜査対象になっている」などと伝える
- LINEなどのSNSで連絡をしてくる、ビデオ通話に誘導する
- 警察手帳や逮捕状の画像を送ってくる、画面で見せる
- 捜査のためにお金を振り込ませる、送金させる
- インターネットバンキングの口座を作らせる
- 「家族にも話さないで」と口止めする
「警察」「検察」「裁判所」と名乗られても、お金の話が出たら詐欺だと考えてください。
電話がかかってきたら、3つの対処
1. 所属と名前を聞いて、いったん切る
「どこの警察署の、何という人ですか」と聞いて、電話を切ってかまいません。本物の警察なら、切ったことで困ることはありません。
2. 自分で調べた番号にかけ直す
相手が教えてきた番号にはかけ直さないでください。電話帳や警察署のホームページなど、自分で調べた最寄りの警察署の番号にかけて、「こういう電話があった」と確認します。
3. #9110 か家族に相談する
迷ったら、警察相談専用電話「#9110」に相談できます。家族に話すのも大切です。「家族に話さないで」と言われた時こそ、詐欺のサインです。
家族でできる備え
離れて暮らす親御さんがいる方は、次のことを一度話し合っておくと安心です。
- 「お金の話が出たら、必ず家族に電話する」と決めておく(警察や役所を名乗られても同じ)
- 家族だけが分かる合言葉を決めておく
- 固定電話を留守番電話にしておき、知らない番号には出ない
- 国際電話を止める:固定電話は「国際電話不取扱受付センター」(0120-210-364)に申し込むと、国際電話の発着信を無料で休止できます。スマホは着信を拒否できるアプリなどを使います。
- 警察庁のサイトや、都道府県警察の注意喚起を一緒に見ておく
スマホ教室で感じたこと
スマホ教室では、受講された方からいろいろなご要望をいただきました。その中で印象に残っているのが、「スマホに広告が出ないようにしてください」というお願いです。
無料のアプリの多くは、広告を表示することで無料で使えるしくみになっています。広告を消したいなら、有料版にするか、そのアプリを使わないかのどちらかで、教室で「消してあげる」ことはできません。こうしたお願いを受けるたびに、スマホのしくみを知らないまま「自分の困りごと」だけを何とかしようとすると、かえって上達のさまたげになると感じていました。
もうひとつよく聞いたのが、「ネット詐欺にだまされたらいけないから、スマホはなるべく触らない」という声です。気持ちはよく分かります。でも、触らないから操作に慣れない、慣れないから怪しい画面や電話に気づけない──という悪循環になってしまいます。
詐欺から身を守る近道は、怖がって遠ざけることではなく、手口を知ったうえで、ふだんから使って慣れておくことだと思います。この記事で紹介した「本物の警察がしないこと」を覚えておくだけでも、スマホとの付き合い方はずっと楽になるはずです。
まとめ
- ニセ警察詐欺は、警察官を名乗って「捜査のため」とお金をだまし取る詐欺
- 被害額は60代・70代がいちばん大きく、1件あたり約900万円
- 本物の警察は、SNSで連絡しない・逮捕状の画像を送らない・お金を振り込ませない
- 電話が来たら「切る」「自分で調べた番号にかけ直す」「#9110か家族に相談」
困ったときの相談先
| 相談先 | 電話番号 | 内容 |
|---|---|---|
| 警察相談専用電話 | #9110 | 詐欺かどうか迷ったとき、不審な電話があったとき |
| 消費者ホットライン | 188 | 契約や買い物のトラブル。最寄りの消費生活センターにつながります |
| 警察(緊急) | 110 | お金を渡してしまった、今まさに被害にあっているとき |
参考にした資料(2026年11月3日確認)
警察庁「特殊詐欺の認知・検挙状況等」
警察庁 SOS47 新着情報(2025年3月25日 ニセ警察詐欺への注意喚起)
兵庫県警察「令和7年中における特殊詐欺等の情勢について」
栃木県警察「詐欺電話にご注意ください」
